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Eljudnir ~エルヴィドネル

徒然なるままに、日暮らし、PCに向かひて、心に移りゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。
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10月8日に見た夢。書き終えるのに随分時間がかかってしまった。



私は高校三年生、受験生だ。受験勉強についてあまり焦ってはいなかったが、一応体裁として塾へ行こうと思った。というのも、幼馴染の真理ちゃんに、一緒に行こうと誘われたからだ。

真理ちゃんとは住んでいるマンションが同じで、幼稚園に入る前からの友達である。正直に言うと真理ちゃんは学校の勉強があまり出来ない。小学校の頃から、私があれこれ教えていた。台形の面積の求め方だとか、フラスコを熱するとき底に石を入れる理由だとか。でも、明るくて友達も多い真理ちゃんのことが私は大好きで、そんな真理ちゃんが私を頼ってくれるのが嬉しかった。



自宅マンションの斜め前にある寂れた雑居ビルに、その塾はあった。

私が同じ雑居ビルに入っている歯医者に行こうとマンションを出たら、それを真理ちゃんが追いかけてきた。

「塾、行くの?一緒に行こ」

そういえば、塾へ一緒に行こうと決めた後、まだ入塾のための説明さえ聞いていない。仕方ないので、私はその日に歯医者へ行くのは諦め、塾へ話を聞きに行くことにした。

雑居ビルのエントランスは、緑でツヤのあるタイルで壁も床も覆われていた。照明がえらく暗く、消えかかった蛍光灯がチカチカしている。その暗い中に、「塾生&塾講師募集」の張り紙が見えた。1つだけあるベージュの扉には覗き窓がはめられており、教室の明かりが漏れている。エントランスから、そこの明るさだけが浮いて見えた。

「すいませーん」真理ちゃんが、ノックもせずにドアを開ける。私は慌ててそれを追った。

中に入ると今は授業をしていないようで、講師と思われる青年が2人ほどいるだけだ。しかも、教室の中は暗い。エントランスから見た明るさは何だったんだろう。

「はいはい、講師の応募ですか?」

癖毛で眼鏡の男性(「ハチミツとクローバー」の真山そっくり)が、私に向かってそう言った。前にいる真理ちゃんをスルーしたことと、生徒のつもりだったので意表を突かれ、私は一瞬口ごもる。その隙に、真理ちゃんがパッと賛成した。

「あっ、それいいね!私の先生になってよ!」

話の展開に付いていけない。私も受験生なんだからそんな暇ないよ、というか真理ちゃん相手なら無料で教えるし、というような反論が頭をかけ巡っている内に、真山が畳みかける。

「ここは小学生向けの塾なので、カリキュラムも難しくないですよ。ほら、今はプールで遊んでいます」

話が違うじゃないか、真理ちゃん…。受験勉強が出来ない塾では意味がない。調べないで来た私も悪いので、人のせいばかりには出来ないけど。

なんだか脱力しつつ、指で示された方向へ振り向くと、窓の外にビニールプールで遊ぶ少年たち5,6人と大学生くらいの男性1人が遊んでいた。大学生は、子供を抱えてプールに放り投げており、子供たちはそれをキャーキャー喜んでいて、次に投げてもらおうと大学生にたかっている。というか、大学生を倒そうと取っ組み合って、力には敵わずちぎっては投げをされているだけかもしれない。どちらにしろ楽しそうだ。

「そうだ、お姉さんたちも一緒に遊んだらどうです?」

と、呑気に真山が言うので、私はギョッとした。

「いや、私たち受験生ですし!」

内心、それ以前にあの男だらけの中へ水着で入るのはいかがなものか、というのがあったのだが、真理ちゃんは隣で「いーですねー!」と喜んでいる。そして、次の真山の一言で、私はプツッと来た。

「受験生って言ったって、1時間くらい使えないの?」

笑いながらそう言われ、負けん気の強い私は反射的に「いいですよ、やりますよ!」と言ってしまった。

その後、カリキュラムのタイムテーブルを作った。しかも何故だか、私の身分は塾生。よって、講習代を支払った。おかしい。釈然としない。何故、金を払って塾講師をしなければならないのか。

真理ちゃんも同様だったけど、彼女は塾講師ではなく本当に生徒として講習を受けるつもりらしい。しかもプール付き、と言って喜んでいる。私は書類に記入しながら、受験勉強しないといけないんだけどな、まぁここに来て本でも読めばいいか、というようなことを考えていた。

講習は、毎週土曜しかやっていないとのこと。じゃあ平日である今は何をやっているのか?と聞くと「見ての通りプール」だそうだ。小学生は夏休みも気楽でいいなぁ、と私は思う。



ふと目が覚めると、私はスーツを着て電車に揺られていた。ここどこ?と思って今まさに発車しようとしているホームを見ると、降りるはずの駅名。しまった、乗り過ごした。

今日は塾講師としての初出勤日。遅れないように、早めに家を出たのに。

次の駅で急いで降りて、反対ホームへ行こうと走る。上り下りのホームが分かれている構造で、反対へ行くには一度潜らないといけない。私は階段を駆け下りた。

降りきったところで気付いたのだが、いつの間にか改札の外へ出ている。早く、反対ホームへ行かないと遅刻してしまう。真理ちゃんはもう待っているだろう。

駅構内を、反対ホームへの改札口を探しながら走っていたら「漢字展」という立て札が見えた。構内の一部をパーティションで区切っただけのスペースに、展示物が貼り出されているらしい。私は焦っていたのだが、何故か漢字展に気を引かれてしょうがなかった。少し覗くと、習字ではなく、色々なフォントでプリントアウトされた二字熟語や四字熟語、漢字だけで構成された印刷物が掲示されている。A全判の大きな紙に10.5ptくらいで印刷された「虫眼鏡」だとか、毛書体のフォントで「似非書道」だとか。なんだろうこれ、ものすごく気になる。

そうこうしている内に、ホームの方からピーという発車の音が聞こえてきた。ダメだ、遅刻決定。



蛇足

この夢について特に言いたいことはないんですが、いきなりシーンが変わって電車内になったあと、塾は自宅からすぐ近くだったはずなのに夢の中では疑問を感じていない、というのが謎でした。が、それくらい。ここでは幼馴染について少し書きたい。

夢の中の真理ちゃん(仮名)は、実在する人です。私の幼馴染。家が近かったのは本当だけども、私たちが住んでいたのはマンションではないし、夢の中の情景はどこも見たことがありませんでしたが、真理ちゃんだけは現実でした。起きたときに思ったのは、今は彼女はどうしているのかなぁ、ということ。

家が近かったので、小中学校は一緒。しかし、高校から分かれてしまい、交流がなくなっていました。でも、成人式の同窓会で再会したとき、彼女はとても喜んでくれて、連絡先を交換。その後しばらくは、連絡を取り合っていました。私が結婚決まったって報告した時も一緒に飲みに行って、カラオケで涙ぐみながらKiroroの「Best Friend」を歌ってくれた。

私に子供が出来て、なんだかんだと会わなくなって、それでも年賀状のやり取りはしていたのに、数年前から年賀状も来なくなった。出しても、宛先不明で返ってきてしまう。実家は近かったのだけど、母に聞いたら6,7年前にお母さんが亡くなり、交流がなくなったとのこと。

成人式で彼女と再会したしばらくあと、私に言ってくれたことがある。「子供の頃、私のダメなところ、ヘラちゃんは『こうした方がいいよ』ってはっきり言ってくれた。嬉しかったし、本当の友達ってこういうことなんだなって高校になってから思った」

実は成人式前、彼女については悪い噂を聞いていた。素行の悪い彼氏が出来たとか、顔つきが変わっていただとか。元々の彼女はずっと笑っていて、素直で明るくて、誰とでも友達になるような子で、陰気な私はうらやましかった。だから、成人式の時に久々に会った彼女が、私の記憶の通りに笑っていて「なんだ、やっぱり噂は噂じゃん」とか思ったものだけども、たぶん噂にはある程度の真実もあって、それを乗り越えての笑顔だったのかなぁと後から思った。

でも、私も年賀状を出すことも諦めて、しばらくは彼女のことを思い出しもしなかったのに、その日は不意に昔のままの笑顔で彼女が出てきた。うれしいような、寂しいような。

本当に、どうしているんだろう。笑っていてくれたらいい、と思う。

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もくじ
[幼馴染と塾講師]
【再掲】体験スカイダイビング
  (2024/05/18)
妄想  (2016/11/10)
140字小説が面白い
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