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Eljudnir ~エルヴィドネル

徒然なるままに、日暮らし、PCに向かひて、心に移りゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。
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そういえば、自分語りをするならこれは外せないな、と思い出したので書く。

「切断しかけた」だとちょっと大袈裟だと思うのだがより正確に言うと、「指の骨が折れて、かつ(骨を中心に)片側の肉が切れた」状態の怪我をした時の話。



発端

忘れもしない2014年10月26日(日)(今、確認したら本当に日付覚えてた)、夕方に事件は起こった。

確か夕飯準備をし終わったあたりだったと思う。シチューか何かの鍋はあとルーがなじむのを待つだけで、ご飯は炊飯中。子供たちは居間にいて、日曜だったから旦那も家にはいて居間だか自室だかにいた。

私は対面キッチンのこちら側で、床下収納を開いていた。蓋は私から見て左側に立てかけてあった。床下収納に物を閉まっていたので私は前傾していたのだが、体を起こした時に目の端左側、何かが動いた。

瞬間、マズイ、と思った。

急いで手を引く。指先に痛みが走る。右手で抑える前にチラリと見えた左手の薬指が、爪からだいぶ前に出ていたのが分かった。

顔から血の気が引いた。怪我って痛みじゃなくて、目から入る情報で重篤さを感じると思う。痛みを抑えるためか、本能的に右手で左手薬指の付け根を押さえ込んだ。台所の床にパタパタと血が滴り、水たまりのようになっていく。

「パパ!なんかちょっとまずい」と、とりあえず旦那に救難信号。それを聞いた長男が走ってきて「パパー、ママ血が出てるー」。「どうしたの、切った?絆創膏いる?」と、呑気な旦那の声に少々イラッとした。こちらの状態を見ていないので、仕方ないのだけど。「それどこじゃない、病院行った方がいいと思う」

電話台の前でキョロキョロする旦那。「病院の電話番号どこ?」「ごめんそっち行けない、説明する余裕もない、119して」

あとから思ったが、消防署など119じゃなくても救急病院の連絡先を教えてくれる電話番号は、見えるところにデカデカと張っておくべきだ。そういや今もやってないや、今度張っておこう。

旦那が119の人に、怪我の状況はどうか、救急車は必要か、とか聞かれているようだった。その間私は、痛い痛い痛いと思いながら指の付け根を押さえ続ける。力を緩めると指先が震え出す。その頃トコトコ歩けるようになっていた次男が私のところに来て、抱っこしてポーズをしてきたが、ごめんね後でね、と弱く笑い返すしか出来なかった。でもお兄ちゃんが「今ママいたいいたいだからね」と居間に連れて戻ってくれた。

その時確か18時前後で、運転手(旦那)もいたから自家用車で救急病院へ行ってください、という話になった。しかし最寄りの大きな病院は急患中とのことで、隣の市の救急病院を紹介されたが、辿り着くのに30分以上差がある(と思う)のであまり後者には行きたくない。119の電話を切った後、最寄りの救急病院に(電話番号を教えてもらったので、旦那に)電話確認してもらったら、怪我の診察なら出来るとのこと。その頃には血もだいぶ止まっており(少なくとも流れ出してはいなかった)、雑巾を持ってきて床の血を拭いて、その雑巾でそのまま切った指を右手で支え、鍋の火を消して、自分で肩掛けカバンを持って(保険証が入っているから)、車に乗り込んだ。

あとから考えたら、雑巾じゃなくてきれいなタオルにすべきだったと思う。怪我から色々と感染していたら大事だった(結論から言うと、大丈夫だったけど)。何故雑巾でやったかというと、血でタオルが汚れたら洗うのが大変だから、あとで捨てられるものがいいやと思ったので。


初診

病院の駐車場は離れているので、私だけ入口前で下してもらった。旦那は子供共々車を停めに行き、私だけ病院に入る。

ここまで怪我してから4、50分だったと思うが、気分が悪くなってきており、立って歩くのが辛かった。指の怪我をしただけなのに、内臓がやられてるとか、頭を打ったとか、大量出血しているわけでもないのに、なんでこうなるのか不思議だった。

受付へ行って、氏名と電話連絡済みであることを伝えると「保険証をお願いします」と言われた。私は血だらけの左手をブルブルさせながら右手で押さえている状態であり、当然右手も血だらけであり、これを見て動じもせずに保険証を要求できるって大病院スゲーと純粋に感嘆した。とりあえず怒りはなかったとはっきり書いておこう。

怒りはなかったけど(無茶いうなぁ)とは思った。とはいえ、患者さんのカバンを勝手に開けるのは立場上出来ないのであろうし、診察してもらえないなら仕方ない。出すしかない。

まず、気が付いたら左手は力が入らなくなっており、右手で支えないとブラーンとなりそうで、しかもその勢いが傷口に響いて相当痛そう、と直感的に思ったから、ブルブルさせながら受付のカウンターに左手を乗せた。雑巾はずっと左手の下に押さえてあるから、カウンターは汚れないだろう。次に、右手で肩掛けカバンを持ち上げてカウンターに置いたのだが、右手もブルブルしていた。ファスナーを片手で開けようとするが開かない。何度かグイッグイッとやったらやっと開いた。片手が使えないって不便だなぁと思った。で、保険証の入ったカード入れを出す。蓋を開ける。保険証を出す。ここまで、ノロノロやっているのを受付の人はずっと見ていた。ちょっと手伝ってくれたらいいのに、と思った。

やっと受付できて、「では初診申し込みなどの記入はのちほど」と言われて待合室まで行く。そこには日曜夜だというのに、5~7グループくらい待っていた。その人数を見て(これ全部待たなきゃいけないの!?)と軽く絶望した。だってものすごく痛い。これ全部終わるの何分後?

看護士さんに「気分大丈夫ですか?そちらに座っててください」と声をかけられた。なんで気持ち悪いのが分かるの!?とビックリして「そうなんですよ!気持ち悪いです!怪我しただけなのになんでですか!」と勢いだけはエクスクラメーションマーク付きだけど実際は虫の息なのでため息のような音量で問うたところ「ショック症状ですよ(苦笑)」と返された。そうか、普通の反応なのかこれが。

座ったり立ったりとか、なんというか、怪我をした指の周囲に空気の流れが生じるだけで痛い感じがする。でも気持ち悪いので、それを押してなんとか座ったところ、すぐ診察室に呼ばれた。どうやら急患扱いにしてくれた模様、だいぶ安堵する。が、また立たねば。

先生が指をちょっと見てすぐ「まずはレントゲンね」。折角立ってから座ったのに、また立って移動。

外に出ると、旦那&子供たちが来てた。レントゲンだって、とだけ伝えて、レントゲン室。ブルブルしたまま「もっとこう、こういう向きで」みたいにまた無茶振りされる。

戻ると「色々出来ないから痛み止めしましょうか」みたいなことを言って寝かされた。ドラマとかで手術するとき、緑色のシートが丸く切り抜かれていてそこから患部(お腹とか)だけ出すじゃない? あれの人形版みたいな小さい緑シートが出てきた。へぇ~と感心しながら見ていると、そこから指だけ出された。指の付け根にブスブスッと注射を2本。グガギギギと言いたくなるくらい相当痛い。しばらくしてから、指をツンツンされる。「分かりますか?」「痛くないですが触られてるのは分かります」「この麻酔は触感までなくならないので、大丈夫そうですね」とかいう話をして、起き上がる。

痛くなくなったので、だいぶ気は楽になった。洗い流しましょう、ということで水道へ。同時に、「あとから腫れると思いますから」ということで結婚指輪を外した。看護士さんが右手にはめてくれた。痛くないので血を洗い流そうと、率先してザブザブゴシゴシやっていたら、看護士さんに止められた。

お医者さんのところに戻って、さっきより遠慮なく指をジロジロ、裏返してみたり。「見ない方がいいですよ」と言われて顔をそらしている間にも、色々触ってる感触。レントゲン写真なども出来てきて、結果「骨折してますね。切っているので開放骨折と言って、『重傷』となります。傷口から骨髄に感染すると大変なので、包帯を濡らすなどは厳禁です。汚れないように気を付けてください」。

重傷!?とビックリした。レントゲンに連れていかれたときは、正直大袈裟だなぁと思ったが、そういえばお医者さんは躊躇なくレントゲンを決めていたなぁと思い出す。予想が付いていたんだろう。

指の先の肉がプラプラしているので、爪に穴を開けて糸を通した。「やっかいなところだなぁ」とかボヤかれたので反射的に謝ったら「これ、しばらくは痛いと思いますよ」とのコメント。爪ごと縫ったあと、包帯でグルグル巻きにされ、ギブスを付けられたら見た目がかなり大仰になった。

あとは、抗生剤だかを点滴され、明日用の抗生剤と痛み止めを処方されて、「明日から毎日消毒に来てください」と言われ、帰った。


そして、大変なのは夜だった。

次男はその時1歳1ヶ月、まだ授乳していた。しかし、私は抗生剤と痛み止めが大量に投与された状態なので、母乳をあげられるはずもなく強制断乳。お風呂も毎日私が入れていたが、自分の入浴だって大変なのに子供の面倒どころじゃない。

仕方ないので、ギャーギャー泣く次男を旦那がお風呂。寝かすのは私がやろうとしたけど、いつもくれるおっぱいをくれないので「なんでー!?」とギャー。哺乳瓶にミルクを作ってみたけど、もうすべてが気に入らなくなっているので口にもしない。泣いている次男を「ごめんね、ごめんね」と言いながら、右手と左腕で抱っこして、なんとか寝かしつけた。これが、次男がおっぱいなしに慣れるまでしばらくの間続いたので、一番大変だったかもしれない。


長くなったので一旦切ります。

そうそう、開放骨折と聞いて初めて「指が切断しかかっていた」と気付いたのだが、その時最初に思ったことは「指の切断って、出産より痛くないんだな!」でした。出産はワケ分からなくなって、もうどうにでもしてー!というくらい痛かったけど、指の怪我は自分を保つという意味では余裕だった。とはいえまぁ、指が切断されちゃったら、喪失感とか、治るまで痛いとか(出産は終わったあともズキズキするとかはない、縫ったところは痛いけど)他の事が色々あるとは思うけど。


続く
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もくじ
[指を切断しかけた話・1]
宝石の国 6巻
  (2024/05/19)
よしなしごと  (2016/09/24)
生死は自認と他認により確定される
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