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Eljudnir ~エルヴィドネル

徒然なるままに、日暮らし、PCに向かひて、心に移りゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。
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 名前からして分かるように、クトゥルー神話小説群に属する怪奇小説。著、ロバート・ブロック。創元推理文庫、発行。

 電車の中で読む本を出掛けに選んだ結果、引越後に適当に詰め込んだ本棚の、一番手前にあった小説を引き抜いた。それがこれだった。しかし、読み始めると面白くて、電車を乗り過ごす危機もあった。
 私はおそらく、怪奇小説が一番好きだ。本書の紹介にも「ホラー」と銘打ってあるが、この小説はホラーというより怪奇だと思う。ただひたすらに恐怖が強いものは好きじゃない。怖いから(笑)。推理小説のように謎だらけなのも、それなり好きだが一番好きなわけではない。読んでて疲れるから(笑)。
 日本の作家で怪奇っていうと、江戸川乱歩とか代表的だと思う。ホラーっぽい不気味な雰囲気を持たせ、ラストに意外性を持ってくるというタイプ。これがものすごく好きなせいで、私の最も愛する小説家は小林泰三ということになっているんであろう。

 私が、ラヴクラフト以外のクトゥルー小説を読むのは、実はこれが初めてだ(除、小林泰三)。が、なかなかに出来がよくて面白かった。
 ラヴクラフトもそうだが、真相を伸ばして伸ばしてラスト数ページ、更にはラスト数行、1行の単位まで引っ張って、「どうだ見ろや!」とぶっちゃける手法をこの作家も使っている。「アーカム計画」は3部構成となっているが、各部での意外性、そして3部のラストでの集大成的な種明かしが見事だった。あの途中での緊張感、そしてラストでの開放感がすごく快感。
 開始~中盤までは、それまでのラヴクラフト作品のネタがふんだんに使われ、先が読めた。これはこれで「あー、あったあった(笑)」という感じだったので悪くない。
 結論が人間外本位なのも良い。なんというのかな、私は救いのない終わり方をする話は好きじゃないが、ひたすら「善が勝つ」的なのも好きじゃないので。旧支配者が復活するのなら、人間にそれを食い止める術はないと思う、はっきり言って(笑)。そこを、スーパーヒーローが現れて旧支配者を倒しちゃう、とかいう話があったとしたら、なんかそれクトゥルー神話じゃないなって思うし。

 クトゥルー小説、ダークなの好きな人にはオススメです。正義は常に勝たなければいけない人には、オススメ出来ません(笑)。
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