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Eljudnir ~エルヴィドネル

徒然なるままに、日暮らし、PCに向かひて、心に移りゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。
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 久々に愉快な夢を見ました。ドタバタSFコメディです。日曜朝に見たので、土曜にたくさん寝ておいたのが功を奏したのでしょう。
 異次元モノの元ネタはたくさん思いつき過ぎるので省略。長官の奥さんは、なるしまゆり「レプリカ・マスター」に出てくる、元モデルのマスター妻がイメージに近い。作中の爆破理論に近いものは、日渡早紀「記憶鮮明」・高河ゆん「アーシアン」にて既出。空飛ぶ博士の様子は、ディズニーランドのアトラクション「ビジョナリアム」を彷彿としましたが…今調べてみたら、このアトラクションってもうないのね。
 尚、劇中で私は実名にて呼ばれていましたが、省いてます。あと「爆発物」じゃなくて「爆破物」なのは、夢の中でそう呼ばれていたから。

 書いてたら、ものすごく長いなこれ。前後半に分けます。後半はもう少しあとで。

 私は異世界爆破物処理班。流れてきた不慮の爆発物や、危険なテロリストによる故意の爆「破」物、そんな色んなものを市民のみなさんに危なくないよう慎重に処理する、政府の機密機関! というと聞こえはいいが、何故か異次元トラブル全般を請け負う何でも屋さんとなりつつある。
 まず、なんで「異世界」「爆破物」なのかというところから説明しましょうか。
 実は今の世界、どんなものでも爆発する可能性がある。物体の存在するエネルギーというものは非常に高くて、何もない無から有に転換するというのは、ものすごいエネルギーが必要なのね。普通、何の前触れもなく突然「有」になることはないんだけど、異世界から物体を移動させる技術が開発されてしまったものだからさぁ大変。同じ世界でなら、途中経過がなく出現することは出来ないけど、異世界から移動してきたものは突然現れたように見える。それは私たちから見てだけじゃなくて、エネルギー的にも「無から有」になったように扱われるから…それが起こったとき、ものすごいエネルギーが発生してその余波からドッカン!ってワケ。
 で、おまけに、その余波を受けた別の物体は、自分が得たものすごいエネルギーを利用して「有から無」になったりする。別にまったくなくなっちゃうわけじゃなくて、異世界へ移動しちゃうのです。すると移動した先で爆発が起こり…という玉突き事故が連鎖的に発生している。今はそんな時代。
 だから、現在ではとても限られた条件でしか、故意の異世界移動は許されてない。でも異世界管理局が作られる前、その過渡期の段階で移動したものが結構沢山あって、今でも連鎖を繰り返している。
 その連鎖を止めるべく、爆発を予測して食い止めたり、爆発によって移動してきちゃった色んなトラブルに対応するのが、私たち異世界管理局爆破物処理班、略して異世界爆破物処理班なのです(全然短くなってない)。
 私がこの爆破物処理班に配属されてから、かれこれ6年が経ってしまった。中堅と言われる歳になっちゃって、先輩からは便利に使われるわ、後輩からは色々頼まれるわで、多忙な毎日。でも充実しているからいいかな、なんて思ってる。
 今日も、朝の早くからお呼び出しがかかった。まだ出勤時間じゃないのにー!


 爆破物処理班本部へ行くと、そこは騒然としていた。見知った同僚が慌しく活動してる…爆破物処理じゃなく、配膳を。配膳というのは、みんなに食事を配る…って説明するまでもない。
 同僚は、ご丁寧に割烹着まで着込んでいる。だから何でも屋って言われるんだってば。
「ちょっと。何、してるの?」
「あ~いいところに来た! 異世界難民が大量に漂着しちゃってさ、大変なのよ!」
 異世界移動の玉突きで飛ばされてくるのは、何も無機物だけとは限らない。生物も、もちろん人間も飛ばされてくることがある。たまに、意図的に飛んでくる人間もいる。
 で、意図せず飛ばされちゃって帰れなくなり、困っている人たちを異世界難民と呼んでいるのだ。
「大量ってそんな一度に飛ばされちゃって、みんな無事だったの?」
「そりゃあ…無事なわけないじゃん。何人かはまぁ、ご愁傷様ってことで」
 同僚は忙しそうに、スープか何かの入った大鍋を持って、臨時キャンプになっていると思われる会議室へと消えていった。
「うーん」
 一体どうしたものか。とりあえずロッカールームへ行って、制服に着替える。割烹着も何故かロッカーに入っていたが、着るのは止めた。そして少し迷った後、会議室へと向かった。
 会議室には、まだ難民の皆さんは来ていないようだった。ガランとした部屋に、椅子と毛布と食事が並べられている。しかし、その食事を見て私は開いた口がふさがらなくなった。食事とはとても言いがたい、木の根のようなしなびた野菜があるだけである。私は憤慨した。
「長官っ! ちょおーかん!」
 会議室を飛び出し、長官室へ向かって廊下を駆け出す。すると、途中の廊下でやはり割烹着を着込み、のんびり歩いている長官と出くわした。
「長官!」
 長官という座にいるには年若いその男性は、すごい形相の私を見るなりひるんだ。
「うお!?」
「あの食事はなんですか! あんなの食べれないでしょ!」
「あぁ、やっぱりそう思う? 上が回してきたのがあれだったんだけど」
 配給品に金はかけられないって話か。世知辛いわね。
 怒りのやり場に困りギリギリとしている私に、長官がしょうがないなと言いつつ続ける。
「だから、ウチにある芋を食べてもらおうと思ってるんだよ。配っといてくれる?」
 見ると、長官はふかしたさつまいもをカゴいっぱいに持っていた。
「長官! さすが長官! ありがとうございます!」
 態度をコロリと変えてカゴをひったくる。会議室へと取って返す私の背に、長官がここぞとばかりに声をかけた。
「それまだ家にあるからさ~、ウチに取りに行って来てよ。ついでにメテオの様子見てきて~朝に熱出してたからー!」
「はいはい分かりました~!」
 ご機嫌で返事をしてから、やられた!と気付いた。
 結局また、良い様に使われてる気がする。


 カゴにあったさつまいもを配った後、私はスクーターに乗って長官の自宅へと向かった。長官の自宅は農家である。郊外にある本部から更に田舎へ走ること数十分、だだっ広い田畑の真ん中に立つ平屋が見えてきた。
 メテオ君というのは長官のご子息で、今年3歳になる。農業は雇いの働き手さんたちがやっていて、長官の奥さんは家でゴロゴロしている。怠けているというわけではなく、お客が来たらちゃんとお茶とか出してくれるのだが、天然ドジな人なので農業や家事の手伝いをしようとしても断られてしまうらしい。憎めない人である。
 私は長官によくメテオ君の面倒を押し付けられる。この子のおしめを換えてやったのは、ほとんど私ではなかろうか。なので、長官のお宅にはしょっちゅう伺っており、もはや顔パスだ。
 スクーターを庭に止め、さっさとお邪魔する。
「奥さ~ん、どちらですかー?」
 熱を出していたというから、とりあえず寝室に向かった。メテオ君は、小さな布団の上で一人寝かされていた。
「メテオ君? 大丈夫?」
「あ、おねえちゃんだ。お母さんどこ?」
 まだ熱があるようで、目がポヤッとして潤んでいる。それでも母が気になるのか、しきりに「お母さんどこ?」と繰り返すものだから、私はメテオ君をおぶって居間へと向かった。
 案の定、奥さんは居間で昼寝していた。
「ちょっと奥さん! 奥さん!? メテオ君が泣いてますよ」
 布団を持ってきて居間に敷き、メテオ君を寝かしてやった。私に声をかけられた奥さんは、のんびりと「あらご苦労様」とか言いつつ、寝呆け眼でずりずり布団の上へ移動してくる。
 母に添い寝してもらって、メテオ君はすやすやと寝息を立て始めた。母子揃って昼寝。
 私は溜息をついた。
 すでに勝手知ったるこの家で、冷凍庫から冷えピッタンを取り出してメテオ君のおでこに貼り付ける。そしてどうせ朝ご飯も食べていなさそうな2人のため、台所でおじやを作ろうと準備を始めたときだった。
 胸ポケットの携帯電話が鳴る。コールは非常音。
「今度は何ー!?」
「移動予測が反応、異世界ホール震動が観測された。着地予想点はW325.107だ! 爆発に準備せよ!」
「了解! …ってそれ長官んちの田んぼじゃない!?」
 広げ始めた鍋はそのままに、私は家を飛び出した。

中編へ続く>
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もくじ
[異世界爆破物処理班・前編]
拝啓、父上様
  (2024/05/18)
妄想  (2007/03/21)
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