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Eljudnir ~エルヴィドネル

徒然なるままに、日暮らし、PCに向かひて、心に移りゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。
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指を切断しかけた話・1の続き。



話の続きに入る前に、怪我した直後に感じた事で書き忘れていたことを書く。

何よりも、挟んだのが子供の指じゃなくて良かったということを心底思った。子供の細さだったら、間違いなく切断されていたと思う。

次に、小指じゃなくて良かった。やっぱり切断になっていただろう。

右手(利き手)じゃなくて良かった。今以上に不便だっただろう。

そういう諸々を考えると、本当に不幸中の幸いだったな、と思って、なんだか楽観的に考えられた。自分が痛いだけならどうにでもなるから、本当に良かった。

ただ、蓋が倒れ掛かったのが視界に入ったとき、手を引くのではなく突っ込んでいたら、腕に痣が出来たくらいで済んだんじゃないか、と思った。浦沢直樹の「MASTERキートン」で、犬に腕を噛まれたら抜こうとせずに喉奥に突っ込め、口を開けるから。という対処法を紹介していた話があったが、それを思い出した。でもね、反射だからさ。多分脊髄からの命令なんだよね。脳みそまで行ってから「よしこのタイミングなら引かずに押せ!」と指令してたら、そんなこと考えている内に挟まってるよね。というわけで回避不能だったと思われます。

そういうわけなので床下収納は凶器です。皆さんも気を付けてくださいね!


怪我した指の図

あと、怪我の状態を文章で説明しただけだと分かりにくく感じたので、下手クソな図を描いてみた。左図が、怪我した際の私の指の状態です。赤いところが切れたところ。スキャナを持っていないので写真を撮った。

指腹側の肉と爪によって、指先の肉が離れないでくっついていたわけですね。爪は折れ目がついていたけれども、完全に切り離されてはいませんでした。


1日目

さて、怪我をした日の夜、寝る前は「寝ている間に子供がゴロゴロ指の上に転がってきたらゼッタイ痛い嫌だなぁどうしようううう」と怯えながら横になったのだが、その日を含め就寝中に指が痛いというようなことは一度もなかった。

朝、起きたらまず身支度を整え、病院へ。子供がお世話になったことがあるので知っていたのだが、診察してもらったのは大きな病院なのでえらく待つのである。診察は9時からなのだけど、7時から受付開始なので番号札を取りに行く。自転車は怖かったので、少々遠いが歩いて行った。そして7時10分くらいで、早くも3番目。1番が良かった…こりゃ待つわ。

で、一度帰って、子供のご飯やら用意。2人共保育園へ連れて行って、9時前に再度病院。

余談だが、子供2人は保育園が別々だった。私はこの1ヶ月前に育休から復帰したばかりだったのだけども、長男の保育園にまだ空きがあったので申し込んだあと余裕で構えていたら、なんと落選。意味が分からない。入園申請不受理事由には「保育士不足のため受け入れ不可」。なんだそれは。しかも、その通知が8月26日あたり、入園希望日は9月1日なのにどういうことなの?というわけで、急いで民間保育園を探したので、別保育園だったのです。

さて、やっとこ診察に呼ばれたのは9時30分くらいだったか。包帯を取って消毒。で、先生は仰った。
「あとは消毒と経過観察だけなので、通いやすい病院に行ってもいいですよ。こちらは来てもらっても構わないのだけど、並ぶでしょ」

毎日病院通いとなると、自宅最寄りのこの病院では会社に着くのが早くても11時くらいになる。毎日午前半休は厳しすぎるので、会社近くの病院の方がいいと思い、同意した。先生は、しばらくは毎日消毒・抜糸は4週間後予定・骨髄炎に留意すること、等をしたためてくれ、1週間分の抗生剤と痛み止めを処方してもらって、とりあえず出社。


指のすごい包帯はさすがに人目を引いた。「お前なんだその指」と部長さん。通院の為遅刻しますメールはしておいたものの、詳しい怪我の状況までは書かなかったのでカクカクシカジカしたら、ものすごく嫌そうな顔をしてくださった。痛そうでしょう、そうでしょう。ちなみに、腕を下ろして指が下を向くと痛いので、この頃私は常に左手を胸の前に持ち上げて歩いていた。「進撃の巨人」の「心臓を捧げよ!」ポーズに似てる、腕の左右が違うけど。

で、キーボードに向かうのだが、右手しか使えないのでなんかたどたどしい。試しに左手の人差し指を使おうとしてみたが、キーを叩く時の振動がダイレクトに骨に響いて「!”#$%&」という感じである。それからしばらくの間、私は右手だけの高速タッチ練習に勤しんだ。普段、何気なくブラインドタッチしてるけど、10本の指たちの有難味をこれほど噛みしめたことはないね。


その日の帰り、私は子供2人を家まで歩かせるのは不可能だと思い、自転車を試してみた。が、やってみてから分かったが、自転車って結構振動してるのね。左手をハンドルに添えるだけでも骨に響くので、片手運転をしてたら転んだ。アホ過ぎる。自転車を起こすのにも一苦労し、それ以来自転車は諦めた。

その日の晩御飯をどうしたか覚えてないが、旦那に定時で帰ってきてもらったと思う。悪いけど子供は任せて、私は左手にビニールをかぶせて入浴、またギャーギャー泣く次男を抱っこしてなだめつつ寝ました。


2日目:転院

翌朝、いつもより早めに子供たちを保育園に預けた後、会社の最寄駅へ向かった。以前、指にでっかいサボテンの針を刺したことがあり、その処置をしてくれた病院が駅前にあったので行ってみる。そういえばあの時も切開して針を取った後、しばらくケロイドになってたなぁ。もう治ったけど。

さて、予定通り診察開始時間前に着いたので、窓口で事情を説明。紹介状を預けて待つこと数分、なんと突っ返された。「ウチは総合外科なので、開放骨折なんて大きな怪我は診れません。専門の整形外科にかかってください」とのこと。えぇ…重傷とは言ってたけど、そんなに大変なことなのこれ…? 窓口の看護士さんが、ご親切にも近くの整形外科を探して地図をプリントアウトしてくれたので、それを持って移動。折角待ち時間が少なくなるように、診察開始前の時間を狙ったのに。

そして、物語はここから始まるのである。


紹介してもらった整形外科に着いた頃には、待合室に患者さんがたくさん待っていた。もしかしたらここでも断られるかもと一抹の不安を抱きつつも、窓口で同じ説明をして開封済みの紹介状を渡す。すると今度は、お待ちください、とのこと。良かった、とりあえず診てはもらえるらしい。

延々待ってからやっと診察順。レントゲン写真を見た初老の男性医師は「あー折れてるね」。素人目には、レントゲン写真のどこから折れていると判断できるのか、サッパリ分からない。医者、というか専門職って本当すごいと思う。で、どうも話し方がフランクな先生で、私の指のギブス&包帯を見て「ずいぶん大げさだなぁ」。割かし乱暴に包帯を取る。そういえば前の晩、お風呂上りの子供の体を拭くのを手伝っていたとき、指にタオルが落ちてきた。それだけでも悶絶するほど痛かったのに、もっとそうっとやって欲しい。

で、ギブスを取って、患部に巻き付いたガーゼを取る。看護士さんがゆっくりやってくれていたのだが、先生はお構いなしにガーゼを無造作に引っ張った。ガーゼに張り付いていた、切れてめくれかけていた皮が引きちぎられる。悶絶。皮が切れたことではなくて、それが骨と傷に響くのよ。

指を見た先生、「どんだけグチャグチャかと思ったらきれいじゃない。怪我ってやつぁいじらない方がいいの。毎日消毒なんて逆効果。あーあーご丁寧に爪に穴まで開けて…傷増やしてどうすんだかねぇ。とりあえず来週おいでなさいよ、一応ね。怖いのは感染だから、痛みがあったら来週まで待たずにおいで。感染してなきゃ痛くないから。え、痛み止め飲んでるの?どれ。こんな強いの飲んでるの?痛いはずないない。抗生剤も飲んでるの?副作用の方が大きいぞこんなの、飲むの止めなさい。あとこのギブスも要らないから」

なんというか、釈然としなかった。怪我をいじらない方がいいのは、なんとなく納得いく。しかし、怪我を消毒せずに一週間包帯しっぱなしって、それでいいのだろうか? とはいえ相手はプロであり、そういうものだと言われればそうかもしれない。また、一番釈然としなかったのは、私が痛いと言っても「痛いはずない」と断ずることだった。いや先生、私の痛覚と直結してないでしょ?なんで分かるの。で、それらについて別のプロは、毎日消毒しなさい、しばらく痛いと思うって言ってたわけで、相反するプロの意見が私を混乱させた。

そんな感じで色々納得いかなかったけども、その日はとりあえず出社した。毎日行かなくていいことになったので、時間的には余裕が出来た。会社に着いたら、指を見た人に「随分小さくなったな!」と言われた。ギブスがなくなったので、一見ただ指先を切っただけのように見える。


ちなみに指のギブスとは、2cm幅くらいの金属板を、ひらがなの「つ」型に曲げたものである。これの曲がっている部分に指先を入れ、ギブスごと包帯でグルグル巻きにすることで固定していた。

大仰な包帯がなくなったことで、最初は少し怖かった。万一人にぶつかった時、怪我にダイレクトにダメージが来そうだったのと、一見骨が折れているように見えないものだから、人が不用意にぶつかって来ないかと不安だったからだ。しかし冷静に考えれば、ただ歩いていていきなりぶつかってくる人なんていやしない(いや、たまにはいるかもしれんけど)。ちょっと神経質になっていたのであろう。

また、ギブスなしで半日ほど過ごすと、こちらの方が快適であることに気付いた。ギブスは確かに真っ直ぐ固定するためのものだろうが、私の折れた骨というのはほんの指先なので、腕のように折れた部分から先の自重によってずれる、ということはほとんどない。つまりぶつからないように気を付ければいいだけなのではないか。で、ポイントは、ギブスがあると指がデカくなって、ぶつかりやすくなるのである。それに、指先ではなくギブスの端の方がぶつかっただけなのに、ギブスがあるせいで指先に振動が伝わり、痛かったんだということに気付いた。

ギブスなしでなんだか身軽になり、少し快適になって、「あの先生の言ったことも嘘じゃないや」と思った。ただ、これを書いている今に至るも嘘を言っていたとはまったく思っていないが、もう少し勉強したらいいんじゃないかとは思っている。上から目線ですみません。

そんな感じで見直していたので、その晩、1日3回飲んでいた痛み止めを止めてみた。抗生剤は怖かったので飲んでおいた。すると、どうだろう! なんと痛くな…いはずがないだろうコンチクショウ! 滅茶苦茶痛い。痛いはずないとか嘘だ。指先がズキズキして寝られない。何も出来ない。痛いしか考えられない。痛いと思ってもしばらくしたら大丈夫になるかも、と思って耐えようとしてみたが、1時間くらいが限界だった。だってその1時間、「痛い」の単語しか口から出ないんだもの。

大人しく痛み止めを飲んで、その晩は寝た。


まだまだ終わらないのである。

続く
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もくじ
[指を切断しかけた話・2]
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よしなしごと  (2016/10/01)
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