Eljudnir ~エルヴィドネル
徒然なるままに、日暮らし、PCに向かひて、心に移りゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。
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見た夢ノベライズ第2弾、気持ち悪い夢シリーズです(笑)。
足の腱がどうこうというのは、小林泰三(小説家)と「ベルセルク」(漫画)から来ていると思われます。少し「EDEN」(漫画)も入ってるかも。また、作中のようなサボテンは、私は知りません。
そのサボテンは、幼少期を親の殻の中で育つ。硬い殻の中に白い樹液を満たし、小さく弱い新芽を守るのだ。
道端にサボテンの鉢が置いてあった。その特徴的な、苔生した岩肌のように干乾びた緑と灰と茶の斑模様に、私はすぐ、それがあのサボテンであると分かった。
私はその日、ボスに連れられてワゴン車の中で待機していた。目の前には少女が横たわっている。体に白いシーツのような布がかけられていた。
開けられた車のバックドアから、捕らえられた少年が見えた。黒服の屈強な男に両脇から押さえられた少年は喚き、車から降りてきたボスに罵声を浴びせていた。
「あんた誰だ。母さんに何をする気だ! 離せ!!」
少年と大して歳が変わらないように見える女性は、幼く見えるが彼の母親であるらしい。彼女は目を閉じたまま、相変わらず大人しく横たわっている。聞こえてはいてもあえて寝ているフリをしているのだと思った。
「用が済んだら返してあげるよ。だからもう少し大人しくしてくれないか。起きてしまうじゃないか」
彼が暴れようと、少年の力では男たちに敵わない。鷹揚とした態度は崩さず、ボスが少年を諌める。
すると、ボスがこちらを向いた。
「OK、では始めようか」
私はあらかじめ、何をするか聞かされていた。震える手にメスを取る。
「もう二度と自分勝手にどこかへ行けないよう、足の腱を切ってあげるからね」
ボスが少年に説明しているのが聞こえた。少年が意味不明な叫び声を上げる。
白いシーツが、私の両脇にいた男たちによって持ち上げられた。少年に見えないようにという配慮か、カーテンのように彼女の体を隠す。シーツが上げられると、丈の短い白いワンピースを着た女性は自分からうつ伏せになった。白い肌の膝の裏が見える。
ボスの指示の下、私は今まで医師として汚い仕事をしてきた。しかし、健常な人間にメスを入れたことは、一度もない。
「やめろ、やめろぉ!」
少年が悲痛な声で懇願する。彼は、目の前の男が自分の父親であることを知らない。
プスリ、とメスが少女のような膝に吸い込まれていった。
繊維の束を断ち切る感触。
麻酔のない痛みを想像する。
処置されずに放り出された傷は、膿まずに癒えるものなのか。
少年は、母が本当に少女の頃の歳に産んだ子供だった。
少女(母親)は、ただ少年(息子)を愛していた。
ワゴン車に乗り込む前、ボスが独り言のように言っていたのを思い出す。
「あれの考えていることなんか単純さ。自分が動けなくなれば、息子は一生自分の元から去らずにいてくれるだろうってだけだよ」
その言葉を聞いていたのは、恐らく私だけだ。
「そして嫌な役ばかり俺に押し付ける。とんだ女だ」
なんて言いながら、とボスは続けた。
「その素っ頓狂な頼みを断れない俺も、とんだ男だな」
タバコの煙がゆっくりと立ち上ってゆく。
「まったくどういう感情表現の仕方だね。誰に似たんだか。親の顔が見たいよ」
ボスはそう言って、鏡で自分の顔を見て笑った。
最も歪んでいた愛は、誰のものであったろうか。
サボテンの殻は割れていた。己の育んだ子供に、内部から押し壊されていた。
現れたサボテンの子株は敵など知らないかのように、瑞々しく柔らかそうな緑色の肌をあらわにし、親よりも一回り大きく成長していた。まだ攻撃性のない棘がやっと生え始めてきたようだ。
その中でも一際大きく見える棘に、白い樹液が付いている。傷口を無理矢理ギプスで固めて押し込めたように見えた。指先でその棘をつついてみると、棘の根元が膿んだようにじゅくりと沈み、白い樹液が溢れ出した。
足の腱がどうこうというのは、小林泰三(小説家)と「ベルセルク」(漫画)から来ていると思われます。少し「EDEN」(漫画)も入ってるかも。また、作中のようなサボテンは、私は知りません。
道端にサボテンの鉢が置いてあった。その特徴的な、苔生した岩肌のように干乾びた緑と灰と茶の斑模様に、私はすぐ、それがあのサボテンであると分かった。
私はその日、ボスに連れられてワゴン車の中で待機していた。目の前には少女が横たわっている。体に白いシーツのような布がかけられていた。
開けられた車のバックドアから、捕らえられた少年が見えた。黒服の屈強な男に両脇から押さえられた少年は喚き、車から降りてきたボスに罵声を浴びせていた。
「あんた誰だ。母さんに何をする気だ! 離せ!!」
少年と大して歳が変わらないように見える女性は、幼く見えるが彼の母親であるらしい。彼女は目を閉じたまま、相変わらず大人しく横たわっている。聞こえてはいてもあえて寝ているフリをしているのだと思った。
「用が済んだら返してあげるよ。だからもう少し大人しくしてくれないか。起きてしまうじゃないか」
彼が暴れようと、少年の力では男たちに敵わない。鷹揚とした態度は崩さず、ボスが少年を諌める。
すると、ボスがこちらを向いた。
「OK、では始めようか」
私はあらかじめ、何をするか聞かされていた。震える手にメスを取る。
「もう二度と自分勝手にどこかへ行けないよう、足の腱を切ってあげるからね」
ボスが少年に説明しているのが聞こえた。少年が意味不明な叫び声を上げる。
白いシーツが、私の両脇にいた男たちによって持ち上げられた。少年に見えないようにという配慮か、カーテンのように彼女の体を隠す。シーツが上げられると、丈の短い白いワンピースを着た女性は自分からうつ伏せになった。白い肌の膝の裏が見える。
ボスの指示の下、私は今まで医師として汚い仕事をしてきた。しかし、健常な人間にメスを入れたことは、一度もない。
「やめろ、やめろぉ!」
少年が悲痛な声で懇願する。彼は、目の前の男が自分の父親であることを知らない。
プスリ、とメスが少女のような膝に吸い込まれていった。
繊維の束を断ち切る感触。
麻酔のない痛みを想像する。
処置されずに放り出された傷は、膿まずに癒えるものなのか。
少年は、母が本当に少女の頃の歳に産んだ子供だった。
少女(母親)は、ただ少年(息子)を愛していた。
ワゴン車に乗り込む前、ボスが独り言のように言っていたのを思い出す。
「あれの考えていることなんか単純さ。自分が動けなくなれば、息子は一生自分の元から去らずにいてくれるだろうってだけだよ」
その言葉を聞いていたのは、恐らく私だけだ。
「そして嫌な役ばかり俺に押し付ける。とんだ女だ」
なんて言いながら、とボスは続けた。
「その素っ頓狂な頼みを断れない俺も、とんだ男だな」
タバコの煙がゆっくりと立ち上ってゆく。
「まったくどういう感情表現の仕方だね。誰に似たんだか。親の顔が見たいよ」
ボスはそう言って、鏡で自分の顔を見て笑った。
最も歪んでいた愛は、誰のものであったろうか。
サボテンの殻は割れていた。己の育んだ子供に、内部から押し壊されていた。
現れたサボテンの子株は敵など知らないかのように、瑞々しく柔らかそうな緑色の肌をあらわにし、親よりも一回り大きく成長していた。まだ攻撃性のない棘がやっと生え始めてきたようだ。
その中でも一際大きく見える棘に、白い樹液が付いている。傷口を無理矢理ギプスで固めて押し込めたように見えた。指先でその棘をつついてみると、棘の根元が膿んだようにじゅくりと沈み、白い樹液が溢れ出した。
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